置賜地区地理部会、自主巡検です。今回は、村上桜が丘高校の先生に現地での案内をお願いし、丸1日同行していただきました。また、訪れた先ではお忙しい中、多くの方々に親切に対応・説明していただきました。本当にありがとうございました。巡検で見聞きしたことは、さっそく教室での授業にも生かしていきたいと思います。
≪日程≫
7:30 赤湯駅集合・出発
9:20 村上市到着
9:40 いよぼや会館(鮭)
10:30 URUSHI OHTAKI(村上堆朱)
11:50 うおや一鰭(昼食・塩引鮭作業場見学)
12:50 きっかわ(塩引鮭作業場見学)
13:30 大洋酒造(和水蔵見学)
13:50 スケートパーク(平野歩夢選手の練習場見学)
14:10 堆朱会館(村上堆朱)
14:40 おしゃぎり会館・若林邸(見学)
15:30 富士美園(村上茶)
17:00 村上市出発
18:40 赤湯駅到着・解散
最初の目的地は「いよぼや会館」!村上市と言えば、鮭が有名です。鮭の卵を人工ふ化させて稚魚を放流し、海から遡上してきた鮭を獲り、塩引きにします。町のあちらこちらに鮭が吊るしてあったのが印象的でした。毎年およそ1000万個の卵を準備し、800万くらいの稚魚を放流するんだそうです。実際に戻って来て水揚げされるのは5万程度との話でした。昔は人工ふ化の技術の確立や、海で鮭を獲る人もいなかったことから豊漁となり、鮭1匹と大根1本が同価格という事態にもなったとか・・・。
ちなみに、この会館は三面川につながる種川に隣接しており、館内から地下通路を進むと、ガラス越しに川底の様子を見ることができます。運がよければ産卵の様子を見れることもあるんだそうです。この日は、前日の雨のせいで水が濁っており、あまりハッキリとは見えませんでしたが、鮭を確認できました!!百聞は一見に如かず!来て良かったです!
午前中に鮭を見たので、昼食はやはり鮭!ということで、「一鰭」というお店に行きました。こちらは大町文庫という本棚イッパイの中に入っている、一風変わったスタイルのお店でした。はらこ大好きの管理人は、迷わずはらこ海鮮丼!他の方々は、「あれだけ塩引き鮭の話をされたら、塩引き鮭は外せない!でも、はらこも食べたい!」が、メニューを見ると、お手頃なものの中に、はらこ+塩引き鮭という組み合わせがありません・・・。
勇気を持って聞いてみました。「この塩引き鮭がついてる定食の、刺身をはらこに代えられませんか??」すると、「できますよ~」なんと!!聞いてみるものですね~。ということで、塩引き鮭定食をいただきました。どちらもとても美味しくいただきました!ごちそうさまでした!!
昼食後、近くの「きっかわ」で塩引き鮭の作業場を見学させていただきました。こちらは作業場と会長さんの住宅が一緒になっている「町家造り」の建物でした。間口が狭く奥行があり、まさに「うなぎの寝床」でしたね。そんな中に、塩引き鮭が無数に吊るされている様子は、圧巻でした。あまり温度が上がってしまうと良いものができないんだそうで、これから寒さが厳しくなる村上ならではの気候が塩引き鮭にピッタリ合っているんですね!でも、職住一体となった建物なので、塩引き鮭にとっては良いでしょうが、住む人には厳しい環境でもありますね。
鮭の次は、酒!こちらの地域の酒蔵である大洋酒造の和水蔵にお邪魔しました。「大洋盛」というお酒が有名です。この日は皆さんドライバーだったので、お酒の試飲はできませんでしたが、入口のところに仕込み水を飲める場所がありました!口当たりが軟らかく、おぉ!なるほど!と納得の味でした。山形県にも酒蔵はたくさんあるので、地元でもイロイロ行ってみたいものですね。
日本海スケートパークは瀬波温泉にあります。かつては市の体育館だったところだそうですが、体育館の中にスケートボード練習用のリンクがあり、小学校入学前の小さい子から練習をしています。なぜここを訪れたかというと、村上市出身でソチオリンピック銀メダリストの平野歩夢選手の練習場所だと聞いたからです。館内には平野選手の大きな看板も掲げられており、本人も来ていました。ただ、純粋な練習場所ということもあり、平野選手を見ることを目的でという感じではなかったですね。皆さん、自分の練習に必死でした。それにしても、本当に小さい子がすごくアクロバティックな技に挑戦していて、感心&ビックリさせられました。
村上と言えば、鮭だけでなく「堆朱」も有名です。この日は、午前中に個人のお店の「URUSHI OHTAKI」さんにもお邪魔し、午後からは市の組合でやっている堆朱会館に行ってきました。
本来の堆朱は、木に塗るのではなく、漆だけを何度も何度も重ねたものだそうですが、その手間は、1つの作品が完成するのに数か月から1年もかかるんだそうです。いったん塗った漆が乾くのに24時間くらいかかるそうで、それを300回くらい重ねるということなので、物凄い根気が必要ですよね。今は職人さんの数もだいぶ減ってきているんだそうですが、そういった伝統的な技術はいつまでも続いていってほしいものです。
「おしゃぎり」とは、祭りでひく山車のことなんだそうです。村上のお祭りで登場する「おしゃぎり」がこちらの会館に展示されていました。それぞれの地区ならではの山車で、その大きさに圧倒されました。
若林邸は中級武士の邸宅ということでしたが、庭などは京都に負けず趣がありましたね。ただ、寒冷地の宿命ですが、雪囲いがなされていて、「鶴の松」と「亀の松」の外観がきれいに見えなかったことが心残りです。置賜も多雪地ですから、こればかりは仕方のないことですね・・・。ちなみにすぐ隣に小学校があったのですが、そこの校庭の真ん中にも松があり、これもかなり立派でした。
村上市は茶の栽培でも知られています。そして、茶に関しては、村上市が栽培の北限とされています。こちらで伺った話では、寒さに弱い茶を育てるために防風林を植え、茶を栽培したのだとか。
昔はかなりの面積の茶畑が広がり、村上周辺のお茶屋は自分の畑を持って、栽培から販売まで一貫して行っていたんだそうです。それが、駅舎の建設をきっかけに町の開発が進み、現在では村上の茶だけですべてをまかなうことは難しい状況とのことです。ただ、他地域の茶とブレンドすることで味が向上するメリットもあるため、必ずしも村上茶100%が美味しいとも言えないというお話でした。
また、昔から外国への輸出も行っており、そのとき使用したラベルの原画も見せていただきました。これは現在の商品にも使用しているんだそうです。