県高社研総会・研究大会(H29.6.7.) 於 東桜学館高等学校

 6月7日(水)、山形県高等学校社会科教育研究会総会と研究大会が行われました。今回は最北地区開催ということで、県内初の中高一貫校である東桜学館高等学校が会場となりました。

 従来の2日間開催から1日での開催となって3回目ですが、遠方からも多数の参加者がありました。置賜地区地理部会からは3名が参加し、研修を深めたところです。


講演「主体的・対話的で深い学びの実現をめざして」

 小中学校についてはすでに次期学習指導要領が公表されていますが、高校は今年度末の予定となっています。したがって、中教審の答申に基づく議論にはなりますが、このたびの県高社研では、会長や来賓、講演者から指導要領改訂に向けた話題が提起されました。

 

 講演では、山形大学の江間史明 教授を講師としてお招きし、「主体的・対話的で深い学びの実現をめざして」というテーマでお話いただきました。

 昨年12月の中教審答申では「主体的・対話的で深い学び」という表現が用いられるようになっていますが、それを実現するための授業づくりについての講演でした。主に小中学校の事例をもとに、生徒につける力や授業のあり方、評価のあり方まで、大変興味深いお話でした。

 

 また、地歴・公民では大幅な科目改変が予定されており、その背景や新科目の内容についての解説もしていただきました。地理についても、現行の「地理A(2単位)」「地理B(4単位)」が「地理総合(2単位)」「地理探究(3単位)」へ改変される見通しで、その内容や意図は早い段階から把握しておく必要があると感じました。年度末の指導要領公表にまで、パブリックコメントなども含めて情報収集していきたいですね。


研究発表(村山支部)

 午後からは分科会ということで、科目ごとの研究発表が行われました。地理部会は、村山支部が発表となっており、村山支部4名より発表がありました。

 

 ☆授業で使えるICT教材(授業実践)

  進学校における大学進学に向けた指導の中にICTを活用し、生徒の興味・関心を引き出す授業実践。100円ショップで購入した材料を使い総額200円で自作した実物投影機の紹介もありました。

 

 ☆山形の魅力についての授業実践(授業実践)

  他県への就職・進学が増える中、少しでも地元の魅力を知ってほしいという授業実践。実践を重ねるにつれ、「モノ」より「ヒト」が魅力であるという生徒が増え、「山形の魅力を知るには、ぜひ自分の家に来て!」という生徒も出てきたという。

 

 ☆白鷹町の耕作放棄地の活用(研究主体)

  全国的にも問題になっている耕作放棄地の解消に向けた事例紹介。白鷹町を事例に、自治体がバックアップし、ブドウ栽培→ワイン出荷まで行っている様子を紹介。現地に何度も足を運び、荒れ果てた土地が変わっていく様子を写真で分かりやすく説明していました。

 

 ☆山形県のホップ栽培(研究主体)

  かつて山形県といえば、ホップ栽培日本一だったという。それ自体を知らない人も増えているなか、栽培が盛んになった背景や衰退の理由、現在の状況など、現地に足を運んでの現地調査も交えて発表がありました。

 

 

 実際の授業に新たな工夫を加えて取り組んだものの実践発表や、数年かけて現地を訪れての研究発表など、日々の忙しさの中でも、研究・修養に努めようとしている先生方の熱い気持ちが感じられる発表でした。

 発表内容自体も大変素晴らしいもので、さっそく今日からの授業で取り入れたい!といったものもありました。置賜地区は発表には当たっていませんが、各自がテーマを持って日々の授業に取り組みたいと思いました。

 

 このたびの研究発表で感じたことは、実際に授業でやっていることの報告や、実際に現地に行きそこで見たことの報告は、まさに「分かりやすい!」の一言でした。文献調査も大事ですが、やはり地理教員としては、フットワーク軽く、「実際やってみる」「実際行ってみる」ことを忘れずにしたいと思いました。