山形県高等学校社会科教育研究会総会・研究大会

 6月6日(水)、鶴岡市の荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)を会場に、平成30年度の山形県高等学校社会科教育研究会総会と研究大会が行われました。

 会場となったタクト鶴岡は今年になってオープンしたばかりで、かなり斬新なデザインでした。

 

(1)総会

(2)講演

(3)大ホール見学

(4)昼食・懇談

(5)分科会

(6)全体会

 



講演『サイエンスパークからはじまる新たな街づくり』

講師:山中大介 氏

(YAMAGATA DESIGN代表)

 

 2014年に設立されたばかりの会社で、「山形・庄内で、次の世代につなぐ街をデザインする」というコンセプトで活動しています。大切にしていることとして、以下の3点を挙げていました。

(1)地域の投資で街をつくる。

 ・・・地元の人が株主の多数を占めているそうです。これは、当事者意識を持って取り組む上でとても重要。

 

(2)地域の人材で街をつくる。

 ・・・社員の半数はUターン、Iターン、Jターン。残り半分は、ずっと地元にいる人。

 

(3)地域の魅力で街をつくる。

 

 鶴岡を拠点に様々な活動を展開されているとのことですが、最も印象的だったのが「当事者意識」というワードでした。ここに非常にこだわっているという想いが伝わってきました。社員の条件も、鶴岡に住民票を移すことだそうで、「遠方からコンサルティングだけやります」といった考え方と一線を画していました。今年度から、宿泊滞在施設や全天候型遊戯施設など、新たな取り組みが次々に展開されていくとのことで、大変興味深く聞かせていただきました。


分科会(地理部会):授業で活用できる教材研究

 右の写真は、タクト鶴岡の大ホールにある緞帳です。緞帳自体の重さが900kg、山辺町のオリエンタルカーペットの制作だそうです。

 分科会では、「授業で活用できる教材研究」をテーマに、最北支部の先生方の発表を聞きました。それぞれの勤務校の生徒の実態に応じた様々な工夫が見られ、大変勉強になりました。発表テーマは以下のとおりです。

 

(1)少人数学習におけるICTを活用した授業の効果(高橋先生・新庄東)

  ・・・エビングハウスの忘却曲線から、ICTの効果的な活用方法を探り、授業での実践例を紹介いただきました。「記憶」について、参加者に体験してもらうワークなども交え、分かりやすく説明していただきました。

 

(2)生徒の興味・関心を引き出すために(八鍬先生・新庄北)

  ・・・小中学校での地理学習や高校生の地理に対するイメージを調査・分析し、生徒の興味・関心を喚起するための手法を探っていました。実物教材や学校近辺の巡検、グループ学習など、様々な工夫を取り入れていました。

 

(3)専門学科と地理を結びつけるには?(鈴木先生・新庄神室産業)

 ・・・勤務校での「高品質ラズベリー産地化プロジェクト」に合わせ、地理の授業でも何らかの関連を持たせようとした研究でした。専門学科ならではの取り組みだったと思います。

 

(4)探究学習のヒント(山口先生・東桜学館)

 ・・・地理を学ぶ視点として、「人は新しい空間とかかわるとき、どのような考えや行動をとるのか」「通説を疑う」といったことを提示し、生徒を主体的・対話的で深い学びへと導くための動機付けとなるような具体的事例を紹介いただきました。